佐世保工業高等専門学校 > 機械工学科 > 卒業生の声

投稿日:2021年08月06日(金)

卒業生の声  井上航さん

【卒業生の声】 

遠い宇宙の探索を可能にするエンジンの研究とは!?

九州大学大学院 航空宇宙工学部門

井上航 さん

 

―― 本日は佐世保高専・機械工学科を2017年に卒業した井上航さんにインタビューを行いました。井上さん、よろしくお願いいたします!

 

よろしくお願いいたします!

 

<大学での宇宙分野の研究について>

―― 井上さんは現在、九州大学大学院 航空宇宙工学部門 で研究をしておられます。どのような研究をされていますか?

 

私は現在宇宙関係の研究をしております。この記事を読まれている方も「はやぶさ」についてのニュースを見たり聞いたりした方もおられると思いますが、この「はやぶさ」のような小惑星探査機についての研究です。

 

電気推進の研究をしている井上さん

 

―― 宇宙に関する研究と聞くだけでなんだか心が躍りますね!

 

はい!もう少し詳しく話しますと、こうした宇宙ロケット等の長距離探索用小型衛星に利用されている、電気推進という技術に関する研究です(※イオンを後方に放出することで反作用により推進力を得るエンジン機構)。この仕組みについては、まだまだ発展中の技術のため、解明されていないことが多い分野なのです。

 

―― おもしろうそうですね!電気推進とはどのようなものなのでしょうか?

 

まず電気推進はこれまでのエンジン機構と比べて燃費がすごく良い技術です。ロケットは宇宙空間に行ったあとに衛星自身が遠くまで移動する必要があるので、燃費が良いほどそれに適したエンジンといえます。電気推進にもさまざま種類があり、私たちの対象としている推進技術は「はやぶさ」のものとは少し異なります。

一般的にエンジンは小型であればあるほど燃費は悪くなり、電気推進の場合はそれが顕著に表れるのですが、研究対象であるエンジンは、サイズを小さくしても燃費が保たれることが分かりました。こうした技術が今後の遠い宇宙を探索するミッションに使用されればと考えています。

 

―― こうしたことを可能にした秘訣はなんなのでしょうか?

 

衛星の推進機であるイオンスラスターの中では電場と磁場が構成され、そこでプラズマを発生させて推進力を得ます。こうした電磁場をシミュレーションする際、従来は“マクスウェル方程式”という式を解いて実行するのですが、この方法はコストも時間もかなりかかります。一方、私たちの研究では、機械学習を用い、簡単な関数に置き換え(サロゲートモデリング)、繰り返し計算をさせる、「遺伝的アルゴリズム」という手法を用いて行っています。最近発達してきたコンピューターにものすごい大量の計算をさせることでより速く、精度もよい計算を実施できるようになったのです。

 

―― 計算機の進化がこうした宇宙の研究に役立てられていることを知り、驚きました!

 

実際に宇宙空間の中でエンジンの実験を行うにはコストも時間も相当かかります。それを高性能なシミュレーションでエンジンの燃費を向上させる方法を明らかにすることで、宇宙探索分野がより効率的に進むということです!

 

――非常に魅力的な研究であることがわかりました!井上さんが感じる研究のやりがいとは何でしょうか?

 

やはり、誰も知らないことを発見できる点ではないでしょうか。この分野が発達すれば、より宇宙の遠くまで探索が進み、さらに新しいことが分かるのではないかとわくわくしています。

 

<佐世保高専・機械工学科について>

―― こうした大学での研究生活を送る中、佐世保高専・機械工学科(以下、機械科)で学んできたことで役立ったことはありますか?

 

機械科に入って一年生からしっかりした実践的教育を受け、その中で論理的思考が染みついていることが現在になって役立っていると感じています。高校から大学に行った人たちは高校の数学や物理など基礎がしっかりできている方が多いのですが、高専出身の方々はそれに加えて実践的な実力がついていることが強みかなと感じております

 

 

佐世保高専の体育祭のときに撮影した写真

 

―― そうなんですね!どういう授業を通してそのような実力をつけたのですか?

 

まず佐世保高専の機械科では、溶接、鋳造、旋盤などの実習を通して、自分の手でもの作りの実力や知識がついたと思います。こうした実習と並行して、教員であり研究者でもある先生方からレベルの高い講義を受けてきたことが理由かと思います。

 

―― 本校の機械科ではメカトロニクスや制御の分野にも力を入れています。

 

械科で制御の分野を学ぶことはとても意味があることだと思います。機械科ではものが動く際の基礎的なところをわかりやすく学ぶことができます。さきほど研究のお話のときに、「遺伝的アルゴリズム」とか「高性能なコンピュータ」の話をしてきました。しかしそれら単体だけでは意味をなしません。ものが動くことと一緒に考えることで初めて意味を成すものであると思います。

その意味で、機械科では実際動かすものの強度とか材料の特性や動きなどを学ぶことができ、そのうえで制御系のシミュレーションの手法などを学びます。単にシミュレーションの手法だけを学ぶのか、機械の動きと制御系の両方を学ぶのか。そこは大きな違いであると思っています。

実際、私の研究の対象はロケットであったり衛星であったり、物理チックなところがあります。機械科で学んできた力学はとても得意であり大好きでありましたし、かつ制御の知識も使っているので、宇宙の分野の研究をするうえで佐世保高専の機械科を経験していてとても良かったなと思いました! これは大学に入ってはじめて実感したのですが・・・。

佐世保高専の機械工学科で実施する制御系の研究例

 

―― ほかにも機械科の魅力があれば教えてください!

 

私は機械科しか経験していないのですが、機械科はものをつくっている実感が最も持てる学科ではないかと思っています。コンピュータやプログラムを使ったサービスも世の中にはありますが、日頃の勉強(数学や物理、化学など)がどのように身近なものに活かされているかがイメージしやすいのが魅力ではないかと思います。「なぜあんなに大きく重たい飛行機が空を飛べるんだろう」とか、「車はどうやって動くのだろうか」など、身近な動くもの“なぜ?”や“どうやって?”に少しでも興味がある人は機械科を勧めたいと思います。

3年生のものづくり実習の様子

 

―― 学生時代どのようなことを頑張ってきましたか?

 

3年生までは、ボート部の活動と、勉強に打ち込んでいました。ボート部ではキャプテンをつとめ、勉強では機械科で上位の成績をおさめていました。4、5年生では、3年次編入(結果、名古屋大学と九州大学に合格)の勉強を進めながら、体育祭では副団長、文化祭では司会など、学校行事を100%満喫し、プライベートでも友達と旅行に行くなどエンジョイしきっていました!

 

卒業旅行で海外に行ったときの写真

―― 機械科の雰囲気はどうでしたか?

 

自分たちの経験した5年間ではかなり雰囲気は良かったです。人とのつながりが強く、クラスメイトや先生たちも良かったと思います。高専は5年間同じクラスで過ごすという、特殊な環境なため、横や縦の繋がりが強いです。今まで、中学→高専→大学と場所を変えてきましたが、定期的に旅行に行ったり、ご飯に行ったりするような友達は高専が最も多いと思います。

 

 

<中学生と保護者の方へ>

―― この記事は多くの中学生の皆様も見てくれていると思います。中学生の皆さんに何か一言アドバイスを!

 

たくさんの経験を積みながら良い仲間と出会いたい人はおすすめです!

 

―― 合わせて中学生の保護者の皆様へ何かよろしくお願いいたします!

 

機械科はさまざまな進路が選べる点がメリットであると思っています。私の周りは、よく耳にする大企業に行った友達もいるし、私のように知名度のある国立大学に行くこともできます。高校一年生からレベルと専門性の高い講義を受けることができるので、努力次第で様々な進路が選択できます。

 

 

 

 

投稿日:2021年08月06日(金)

卒業生の声  山田龍之介さん

卒業生の声

発展し続ける車の開発、普段の勉強、共通して大事なことは〇〇!

TOYOTA

山田龍之介さん

 

—— 本日は佐世保高専・機械工学科を2021年3月に卒業しました、山田龍之介さんにインタビューを行いました。よろしくお願いいたします!

 

よろしくお願いいたします!

 

<TOYOTAでの研修の様子>
—— 現在はTOYOTAに就職され、研修を行っていると伺いました。どのようなことをやっておられますか!?

 

現在はまだ研修中のため、開発業務は行っておりませんが、予定では車両技術開発部のシャシー開発に配属予定です。シャシー開発では、主に車の運動性能(走る、止まる、曲がる)の具現化を目的としており、ブレーキやサスペンションなどの足回りの開発を行います。

TOYOTAの研修に取り組む山田さん

 

—— 車にとってはなくてはならない基礎の部分ですね!

 

はい、昨今、自動運転や燃料電池車両などの新しい車の開発が進んでおり、自動車の構造は次々と変化していっています。しかし、自動車の基礎であるブレーキやサスペンションなどは無くなることはありません。私はこれらの基礎部分であるシャシー分野の開発を進め、お客様が安全に楽しく運転することができる自動車を世に送り続けたいと思っています。

 

—— どれだけ車が変わっても運転を支えつづけていく重要な『基礎』のパーツを担当されているとのことで興味深かったです!

 

<高専で頑張ってきたこと、楽しかったことなど高専生活について>

—— そんな山田さんは佐世保高専の機械工学科の出身です。機械科ではどのようなことに頑張ってきましたか?

 

高専生活で特に頑張ったのは、理数分野の学習です。高専では1年生から5年生に進級していくと共に専門科目が増えていきます。その専門科目の学習に必要となるのが、理数科目です。数学や物理などで基礎固めをしっかり行っておくと、専門科目での応用も可能であるため、高専では特に理数分野の努力をしてきました。

 

—— 高専の学習においても基礎が大事であるということですね!

楽しかった事は体育祭や文化祭など、行事が多い事です。1つ1つのイベントを先生ではなく、学生自身が主体となって作り上げていくことで、成功した時の達成感が非常に大きかったです。その他、四年生次にはインターンシップやシンガポールでの工場見学など、社会に出るための準備のような取り組みもあり、良い経験をすることができました。

学生時代の体育祭・学科対抗リレーの様子

 

<機械科の魅力>
—— わかりました!では機械科の魅力とはなんでしょうか?

 

機械科の魅力は、「ものづくりの基礎」を学べるという事です。高専には実習工場もあり、実際に機械に触れて学習をする事で、座学で学んだことをより深く理解することができます。更に機械工学科では、ものが動くことに関わる様々な力学を学ぶことができるため、幅広い分野に応用することが可能です。なので、機械科で学べばあらゆる産業分野に繋がる、ものづくりの基礎が学べるという所が1番の強みではないかと思います。

シンガポールにおける工場見学の写真

 

—— さきほどの車の話でも、学習の姿勢でもそうですが「基礎」がしっかりしていくことで幅広い「応用」分野を選択できる。それが機械科の魅力ということですね!

 

高専の機械工学科では、1年生の頃から実際に機械に触れて学ぶことができ、学年が上がるとともに実験や実習も増えてくるため、工学を学ぶ楽しみも年々増えていきます。

現在、ロボットやAIなどの最新の技術が進歩している世の中ですが、それらのプログラムの“入れ物”となる機械の発展は必要不可欠なものになってきます。そのため、機械工学は将来的にもますます価値が高くなっていく分野だと思います。

 

 

シンガポール研修の際に立ち寄ったシンガポール動物園

 

 

—— 現在機械科ではメカトロニクスや水素エネルギー、レーザーを使った切断方法、特殊な性能をもつメッキなど世の中に欠かせない様々な応用研究も行っていますが、やはり機械科で学ぶような基礎的な内容が重要であると感じております。

 

<中学生と保護者の方へ>

—— この記事は本校への入学を考えている中学生や保護者の方も見ておられます。もしよければ保護者の方へお伝えしたいことはございますか?

 

はい、機械工学科では機械に関わる幅広い工学を学ぶことができるため、自身の視野を大きく広げることができる学科であると思います。16歳という若いうちから、ものづくりに対する様々な知識を取り入れる事で、将来の目標も徐々に確立することができる学科でもあると思います。なので、機械科は本当にお勧めしたいと思います。

 

—— では中学生に一言!

 

はい、今、世の中は次々と技術が進歩し、国同士の競争にもなっています。そんな中で日本の産業を牽引するためのエンジニアを育成する場所がこの高専です。これからいろんな技術、工学を学びたい人にとって非常に充実した良い環境であると思いますし、今は将来の夢や目標が決まっていない人にとっても、視野を大きく広げるのに最適な場所だと思います。佐世保高専・機械工学科に入学して、日本の産業を牽引するエンジニアを目指しましょう!

体育祭のときにクラスメイトと撮影した写真

投稿日:2021年08月06日(金)

卒業生の声  内村元紀さん

卒業生の声

何か自分の強みを一つ持とう! 

九州大学工学部 航空宇宙コース

内村元紀さん

 

―― 本日は佐世保高専・機械工学科を2021年3月に卒業しました、内村元紀さんにインタビューを行いました。よろしくお願いいたします!

 

よろしくお願いいたします!

 

<航空コースを選んだ理由と高専ライフ>
――なぜ航空宇宙コースを選んだのでしょうか?

 

私は、「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウに着陸を成功させるニュースを見て、宇宙プロジェクトに関心を持つようになりました。なので、宇宙開発の研究をしている九州大学へ進学し、宇宙機ダイナミクスを研究していきたいと強く思うようになったのです。

 

――では高専で一番頑張ってきたことといえば、勉強でしょうか!?

 

実は私が高専で一番頑張ってきたことは筋トレです!毎日のように筋トレを重ね、トレーニングメニューを考えたり、苦しい減量にも取り組んだり、筋トレの大会にも出場をしたりしました。

体育祭で演舞をした機械科の応援団

 

 

――内村さんにとって筋トレはなくては欠かせないものなのですね!筋トレをしてよかったことは何でしょうか?

 

いろいろありますが、編入学試験の面接のときに面接官の先生と話をする際、話のネタとして盛り上がったことですね。場の空気が和み、面接も有利に働いたと思っています。私は筋トレに限らず、自分の強み、自分が話しやすいもの、面接や日常のコミュニケーションなどでネタとしてとっつきやすいものを持っているほうがいいと思っています。なので、何か自分ならではのものを持つことをお勧めします。とりあえず筋トレはかなりお勧めです!話題になりますよ。

 

――なるほど、自分の強みを一つ持つことは重要なことなのですね!

 

筋トレをしながら高専時代に頑張ってきたことといえば、勉強面ではTOEICで最終的に815点を取ることができたことです。その後フィリピンの企業へ2週間インターンシップに行き、本校で初の海外インターンシップとなりました。現在クロスアポイント制で佐世保高専の教員となられている入江先生の『株式会社 ユウシステム』という会社です。英語を使いながら現地の人とコミュニケーションをとったり、プログラミングを使ってホームページをつくったり、様々苦労しましたが、とても実りのある2週間でした。また、長崎県の亀山電機ものづくりコンテストにも2度出場し、いずれも銅賞を受賞しております。

フィリピンの株式会社 ユウシステムの社員の方々と食事会

 

 

――筋トレだけでなく充実した高専ライフを送ってきたのですね!

 

<なぜ機械工学科を選んだのか?>
――ところでなぜ本校の機械工学科を選んだのですか?

 

中学生のころ佐世保高専の学校説明会で思ったのは、機械科に入ると幅広く就職先・進学先を選べるなと感じたことでした。実際、機械科に入ってみてよかったのは3年生のときに『ものづくり実習』ができたことです。私たちは歯車減速機というものの設計と製作をクラスメイトと協力して成し遂げました。いまから振り返ってもあの授業はとても魅力的で、やっててよかった!面白かった!と思えるものでした。こういうものづくりの経験が得られた機械科を私はかなりお勧めしますね!

 

――設計から製作まで一通り学生自らが行い、実際にものを動かしてみる。ものづくりの魅力が感じられる授業ですよね!

機械科の実習の様子。学生が自ら手を動かし加工を行う

 

 

 

<中学生と保護者の方々へ>
――この記事を見てくれている中学生へ何か機械科をアピールできることはありますか!?

 

はい!機械科には熱力学、流体力学、制御工学などの授業があり、今社会で動いているものの仕組みを知ることができたので、とても勉強になりました。たとえば熱力学で習うのは発電所で使われているタービンなどがどういう仕組みで動いているかがが知れました。単に数学や理科だけを習っていると何のためにやっているかわからなくなることもありますが、自分の知っている身近なものの仕組みと学問がリンクしていることを実感できるのは面白いですよね。

 

――子どものころから何気なく触れているものが「こんな仕組みで動いているのか!」とわかるとうれしいですよね!

 

はい!世の中便利になるにつれて中身の仕組みがわからないものがどんどん増えてきています。電流やプログラム、化学反応なども重要な工学の学問ですが、世の中で動いている機械の力学を理解したうえでそうした学問と触れ合うと、また新しく色々なことがわかってくると思います。そういうものづくりの基礎が学べるところが機械科の魅力だと思っています。

 

――中学生の保護者の方にも何かアピールポイントがあれば教えてください!

 

私は父がオープンスクールに行って、公開授業を見たことがあります。また実習工場の見学もしてみて、すごいいい学校だな、自分が戻れるとしたら、ここに行きたいな、と言っていたので、このような理由から佐世保高専の機械科を選びました。なので、実際に佐世保高専に来て体験してみてほしいと思います。

 

――中学生に何かアドバイスはありますか?

 

皆さんの中には進路はまだ考えきれていないという人もいると思います。この高専ではいろんな経験ができると思いますし、5年間の中で、自分のしたいことを見つけて最終的に大学へ進学するにせよ、企業へ就職するにせよ、後悔しないような選択を高専でしてほしいと思っています。高専は選んで後悔はしない場所ですので、ぜひ志願してみてください!

佐世保高専機械科の内村君とクラスメイト

 

 

投稿日:2018年06月05日(火)

卒業生の声 来たる水素エネルギー社会を支える新産業の拠点! ・水素エネルギー製品研究試験センター 鶴羽航大さん

来たる水素エネルギー社会を支える新産業の拠点!

鶴羽航大さん

(H23年度卒業,専攻科H25年度卒業)

皆さん、水素の力で走る「燃料電池自動車」のことを聞いたことがありますか?

これまでの自動車では、排出されるガスが地球の環境に悪い影響を与えるとされ問題となってきました。一方、燃料電池自動車とは、水素と空気中の酸素によって生み出された電気を使って走る自動車のことです。電気を生み出す際、燃料電池自動車からは有害なガスは出ず,水しか排出されないので、地球にやさしい自動車として、現在、研究開発が急速に進められており、佐世保高専の機械工学科でも水素関連の研究を進めています。

今回はそうした水素エネルギーに関係した企業で働く、佐世保高専の機械工学科出身の鶴羽(つるは)航大(こうだい)さんにお話しを伺います.

鶴羽さんは、佐世保高専において5年生から専攻科2年生までの3年間、機械工学科で水素エネルギーに関する勉強を重ね、九州大学と連携しながら最先端の研究をし、学会発表も行ってきました。「3年間の研究で得た水素の知識を活かした仕事をしたい」との想いで、H26年度に水素エネルギー製品研究試験センターHyTReCに入社。以来、現在にいたるまで水素社会実現に向けた重要な仕事をされてこられました。

前置きが長くなりましたが、それでは鶴羽さんにお話を伺ってみましょう!

企業から依頼された仕事をする鶴羽さん。

高圧水素ガスで使用予定の製品の実証試験中。

 

☆早速ですがHyTReCとはどのような仕事をするところですか?

現在、環境に優しい新エネルギーとして水素が注目されています。HyTReCでは、高圧水素ガス環境下での利用を目的に開発された、さまざまな製品の実証試験を行っています。

高圧水素ガスには金属の特性を低下させてしまう性質があります。こうした水素の性質に製品が耐えられるかなどを詳細に検査したり、耐えるためにはどうすればよいかなどを企業側に提案したりします。実証試験を行った製品の一部は実際に商品化され、燃料電池自動車や水素ガスステーション等で使用されています。

TOYOTA製の燃料電池フォークリフトを用いた実証試験。

 

☆“高圧”という言葉が出ましたが,高圧水素ガスというとどれくらいの圧力ですか?

燃料電池自動車には70 MPa(700気圧)のタンクが積まれます。これは私たちが生活している空気の圧力の700倍、深海でいうと7000 mの深さの水圧に相当します。

 

☆相当な圧力ですね!水素社会において水素を安全に使っていくために、鶴羽さんの仕事は非常に大事ですね!

☆同じような仕事をしている企業は日本において他にどこがありますか?

日本ではここだけではないでしょうか。世界においても私の働いているHyTRecとカナダだけです。

 

☆貴重なお仕事なんですね!それでは,HyTReCで、鶴羽さんはどのような仕事をされていますか?

私の業務内容は、お客様から依頼された試験を実際にオペレートすることです。企業とのやり取りが伴うので、状況に応じて柔軟で迅速な対応が求められる大変な業務ではありますが、入社当初から私は現場全体の管理を任せられています。

この仕事をしていてうれしいことは、最先端の製品開発という非常に貴重な経験をさせていただいていることです。現在は、実証試験の業務に加え、試験設備の運用および保安管理も一部任せていただいております。さらに、年間の設備メンテナンス計画や設備管理費用の試算等、技術的なことに留まらず、事務的な事柄にも取り組み始めています。

水素タンクに高圧水素ガスを充填している様子

 

☆入社から即戦力として幅広く活躍されてこられたのですね!

☆では、佐世保高専機械工学科で学んだことで、活かされている事は何がありますか?

機械工学科5年から専攻科卒業までの3年間、水素エネルギーに関する研究を行っていたので、学んだ知識をそのまま仕事として活かすことができました。また、佐世保高専の機械工学科は、「工学実験」や「工場実習」を通して、幅広い分野の専門的な知識や、実験器具および工作機械等の取り扱いを学べます。こうした環境で学べたことは、自分の大きな財産だと思います。

特に、私のような職場ではさまざまな業種の方々と関わることが多いため、知識としてはたとえ浅くても、“幅広く知っている”ということが大きな武器になることを日々実感しています。

安全管理に注意しながら高圧水素ガスを使った実証試験をスタッフと共に進める。

 

☆機械工学科で習ったことが幅広く仕事の役に立つということですね!

☆では、高専で習うこと以外に、“これを勉強するべきだ!”と思うことを、ズバリ後輩たちに教えてください。

とにかく英語を勉強しましょう(笑)。英語が話せて理解できるということは、今後どの業種で働くにしても重用されるところだと思うので、時間がある今だからこそ頑張ってほしいと思います。また、専門知識に関しては頭の隅に残る程度で、広く浅く学ぶといいと思います。手当たり次第広く学ぶことで、自分にあった分野が見つかり、就職先を選択するひとつの材料にもできるのではないかと思います。

 

☆機械工学科では国際化にも力を入れており、実際に米海軍基地内の小学校や高校の生徒,シンガポールや中国の方々,ネイティブの講師と会話をする授業も取り入れています(選択制)。英語がますます大事な時代ですからね!

機械工学科で力を入れている国際化の取り組み。

米海軍基地内の小学校Sasebo Elementary Schoolとの理科実験交流Science fair

シンガボールポリテクとの文化交流の取り組み(日本や佐世保について紹介するポスターセッション)

 

☆さて、この機械科のHPはたくさんの中学生が見てくれています。佐世保高専の機械工学科をアピールしてください

機械工学科では、さまざま分野の専門知識を学ぶことができ、かつ「工場実習」等を通して実際に機械を動かしながらものづくりを学べるすばらしい環境が整っています。特に、この“自分で実際に機械(自分の手足)を動かして製品を作る”という経験は、なかなかできることではないので、ぜひ体感していただきたいと思います。また、補習等がほぼ無いので、多くの時間を自由に使えることで、ゆとりを持って勉学や部活に励むことができるのもアピールポイントのひとつです。

 

『中学生の皆さん、何事にも前向きに一生懸命頑張ってください!』と鶴羽さん

 

☆その他、何かしら中学生に対しアドバイスがあればお願いします。

佐世保高専機械工学科のアピールでも少し触れましたが、多くの時間を自由に使える学生時代は、とても貴重な時期だと思います。実際に働き始めると、限られた時間の中で、日々の課題をこなしながら毎日を有意義なものにしていくことは、とても難しいことだと感じます。毎日が有意義であれば気持ちにゆとりができるし、その分物事に関する見方も変わり、より多くのことに気づける自分になれると思います。物事に対していろいろな見方ができるということは、勉学だけではなく日々の生活においても大事なことだと思うので、学生時代の今だからこそ、時間をうまく使うことを心がけて、何事にも前向きに一生懸命取り組んで行ってほしいと思います。

 

☆今日は貴重なお話をいただきありがとうございました!安全な水素社会のために、鶴羽さんの仕事の成功を祈っています。

HONDA社およびTOYOTA社の燃料電池自動車

 

投稿日:2018年04月24日(火)

卒業生の声 メカトロニクスの原点・安川電機 松田悠太さん

メカトロニクスの原点・安川電機

 松田悠太さん

(機械工学科 H25年度卒業,専攻科H27年度卒業)   

   佐世保高専の機械工学科を卒業した松田悠太さんを紹介します。松田さんは,卒業後,”メカトロニクス”の分野で有名な安川電機に就職され,ロボットの周辺機器の設計部署に配属されました。

現在,機械工学科は機械分野にとどまらず,電気工学,制御工学,情報工学を取り込み,ロボットなどを動かすときに必要な『メカトロニクス』を授業に取り入れております。佐世保高専・機械工学科のメカトロニクス授業を学べば,大学レベルを十分に超える知識を習得することができます。そのような機械工学科を卒業した松田さんにインタビューをしてみました。

 

☆安川電機ではどのように活躍してされていますか?         

入社してロボットの周辺機器の設計部署に配属されてから直ぐに、即戦力として設計業務をさせていただきました。入社2年目には、国際ロボット展という大きな展示会の出展担当者に抜擢していただき、企画から準備、当日の説明員までを一貫して任せていただきました。そして入社3年目となる今年度(平成30年度)からは、トヨタ自動車の生産技術部署に出向を命じられ、ユーザーがロボットをどのように使用しているのかを学ばせていただいています。

 

☆佐世保高専機械工学科で学んだことで活かされている事は何かありますか? 

高専の各学科の中でも機械工学科は、他の学科に比べて様々な分野の専門的知識を広く学ぶことができるため、会社での様々な仕事に対応できています。また、工場実習等で培われた“現場力”は、設計や現場作業に活きていると強く実感しています。また、私は機械工学科5年から専攻科2年の3年間,水素エネルギーについての研究を行ってきましたが、専門的な知識はもちろん、仕事の目的に向かうプロセスを学ぶことができました。

☆現在佐世保高専で学んでいる後輩たちに“これを勉強するべきだ”と思うことはありますか? 

自分が得意な分野に関しては深く勉強し、そうでない分野に関しても浅くで良いのでしっかりと勉強に取り組むことが重要だと思います。深い知識は自分の強みになり、広い知識は仕事に対する視野の拡大に繋がります。

☆中学生に対し,佐世保高専の機械工学科のアピールをお願いします.

勉強面に関しては前述の通りです。勉強面以外では、“佐世保高専の機械工学科”はいつの時代も結束力が強いのが特徴です。恩師や同級生の存在は、卒業して社会人となった今でも心の支えや良い刺激になっています。

 

☆安川電機のアピールも含め,その他,アドバイスがあればお願いします.    

安川電機は若手にどんどんチャンスを与えてくれる会社です。会社は大きな組織ですが、その組織は一人ひとりの人間によって形成されています。人と人との繋がりは非常に大切なものだと、社会人になって改めて感じています。人との繋がりを大切にして、勉強も遊びも一生懸命頑張ってください。

☆どうもありがとうございました。松田さんも頑張ってください。

投稿日:2004年11月17日(水)

武村浩道 先輩

2004年11月26日に ”企業が求める人財について”のタイトルで専攻科生・4・5年生を前に貴重な講演をしていただきました。

講演の様子

 

ご経歴

1987年3月   機械工学科卒業(野球部OB)
1987年4月   長崎大学工学部機械工学科3年に編入学
1989年3月   同大学大学院工学研究科機械工学専攻
1991年4月   日本精工(株)材料技術研究所へ入社
2000年8月   自動車軸受技術部へ異動
2004年7月   ニードル軸受技術部・グループ マネージャー(課長)

 

先輩からのメッセージ

 人と人との触れ合いが、社会人として技術者として重要です。信頼は一日で築くことは出来ませんが、失うのは数分で十分です。

 技術者として、自分ひとりの力で、新発見や新製品の開発を行うことが  魅力的に写るかもしれませんが、周りの協力無しには実現不可能です。

 企業から求められる「人財」とは、視野が広く、常に自分の行動にフィードバックをかけることができ、共同で物事を進めることができるリーダーシップ力のある人であると考えます。

 数多くの佐世保高専OBが企業で望まれ、活躍しております。 後輩諸君の更なる飛躍を期待しております。 

 

インタビューにあたって

 在学中は野球部に在籍し、ファストで4番、「野球ばっかしやってました」と語る先輩。思い出は新聞に自分の背番号3がでっかく写て、チームメートに羨ましがれたことだそうです。

投稿日:2001年12月11日(火)

北口功幸 先輩

執務室で撮影

 

ご経歴

1986年3月 機械工学科卒業(第20回)

1996年10月 有限会社亀山電機 創設(本社 長崎)

 

先輩からのメッセージ

 私は司馬遼太郎の”竜馬がゆく”を何度も読んで ”30歳での独立”を夢み、平成8年に一人で会社を創設しました。皆さんの中で夢を持っていない方がいれば、色々な本を読んで”自分の夢”を探すのも一つの手と思います。

  これからの社会人は”経済の知識”、”パソコンの知識”、”英語力”、”専門の知識”が不可欠です。

 皆さんが”夢”を持って、”夢”を実現するための”努力(プロセス)”を考え、毎日を流される事なく”努力”を続け、自分の”夢” に近づく事を期待しています。

 

インタビューにあたって  

 在学時は持ち前のリーダシップで、学生会長として学生会をぐいぐいと引っ張り、現在は地元長崎で自分の夢 “竜馬のごとく”の実現に邁進中の北口先輩です。

 平成8年に創設した会社は、17年現在株式会社となりスタッフ50名。事業内容は、制御系の設計製作・ソフトウエア開発・HP製作・Web開発など。
 
 全社員の技術向上を目標に初級シスアド・TOEICの受験・通信講座・セミナーを利用しての専門知識の習得に積極的に取り組んでおられます。

風頭公園にて撮影 (平成17年4月)

投稿日:2001年12月04日(火)

森山利隆 先輩

コックピット内で撮影

 

ご経歴

1967年 機械工学科卒業(第2回)

1970年 YS11型機 機長    

1976年 YS11型機 機長        

1981年 ボーイング727型機 機長

1987年 ボーイング767型機 機長

1989年 ボーイング747-400(テクノジャンボ)機長

1994年 ボーイング777(トリプルセブン)乗員部部長

 

先輩からのメッセージ

 高専は各科目がびっしり続いていて、気持ちも時間も余裕が出来にくいでしょうが、もっとまわりに目を配れる余裕のある人になって下さい。

 企業で高専卒は優秀との評判ですが、大卒と比べるとどうしても小さく見えます。在校生の皆さんには大らかで柔軟な視野の広い人になる事を期待しています。のびのびと学生生活を楽しんで下さい。

 

インタビューにあたって

 高専卒業後、全日空で皆さんおなじみのボーイング各機種の副操縦士、機長として活躍され、現在は乗員部の部長として後輩パイロットの安全飛行管理あたると共に、月に5・6日は機長として国際、国内線の乗務と重要な仕事に就いておられます。

 テロ後は利用客の激減で大変だそうです。

 

 

 

投稿日:2001年11月16日(金)

島田憲一 先輩

市役所7階の電算管理課で撮影

 

ご経歴

1991年3月 機械工学科卒業(第25回)

1991年4月 九州工業大学情報工学部機械システム工学科3年に編入学

1993年4月 同 大学院情報工学研究科情報システム専攻

1995年4月 佐世保市役所に入庁

2001年11月現在 同 企画調整部電算管理課

 

先輩からのメッセージ

大学に行って感じたこと「何事も自分の意志で行動することの大切さ」

社会人になって感じたこと「仕事をするのも体力勝負」

 

インタビューにあたって

 仕事が楽しい島田先輩です。

 情報化基盤整備の仕事を毎日クタクタになるまで、がんばっておられます。

 仕事の後は、趣味のテニスで汗を流されているそうです。学生時代よりのテニスの腕前は市内トップクラスです。

 

佐世保総合グランドテニスコートで撮影

投稿日:2001年05月01日(火)

古賀公博 先輩

職場で撮影

 

ご経歴

1996年3月 機械工学科卒業(第30回)

2001年現在 長崎菱電テクニカ株 事業開発室勤務

 

先輩からのメッセージ

教科書は大事に使えよ、、、、、、、。

 

インタビューにあたって

 下の写真は、平成13年5月8日に流体中島実験室のメンバー(教官、5M)8名で菱電テクニカのスターリングエンジン試験設備を見学に行ったときのものです。

 古賀先輩は職場のみなさんと”夢のエンジン”の開発に日夜頑張っておられます。

右から4人目が古賀先輩です。