学科紹介

各学科・基幹教育科 概要

機械工学科

人間は社会生活をより快適にするために、多くの「物」を作ってきた。機械工学はこれらの物づくりのための設計・製作とこれらの製品の利用・管理を行う総合的な技術である。

近年の機械システムの高機能化、知能化に備えて、また技術のグローバル化に対応して、種々の困難な問題に遭遇したとき、独創的発想で解決できる能力を養うため、応用数学、応用物理などの基礎科目、材料力学、機械力学、熱力学及び流体力学などの力学科目ならびに材料学、機械工作法、機械運動学、設計法、計測工学などの開発・設計・加工に関する機械工学本来の専門科目に加え、情報処理、制御工学、電気工学、電子工学、メカトロニクス、工業化学、生命工学など機械工学に関連する周辺の広い分野の科目を取り入れた教育を行っている。

また知識教育に偏ることなく、設計製図、機械工作実習、機械工学実験などの実技教育を充実させ、豊かな人間性を育むための教養教育を尊重し、さらにクラブ活動を奨励し、人間社会と自然環境の調和を図りながら、真に人間に有用な物づくりとは何かということを、広い視野のもとに的確に判断し、高い理想と信念を持って実行できる心身共に健全でバランスの取れた国際性豊かな機械技術者を育成する。

また、実践的能力を育成するため、機械設計技術者検定3級、危険物取扱者検定乙種、実用英語検定2級、工業英語検定2級、情報処理技術者検定2級などの資格が取得できるよう指導している。 なお、機械技術に関する国家試験等の資格取得には多くの場合、実務経験を要求されるため、学生時代に取得できるものは極めて少ないが、社会に出て実務経験を積んだとき、容易に資格を取得できる学力が身につくよう教育している。

 

電気電子工学科

将来、社会の変動に対応して、強い責任感と高い倫理性をもって行動し、研究開発、設計、生産技術、フィールドエンジニアリングなどの分野で社会に貢献できる技術者を育成する。また、将来にわたって自己啓発と学習を継続し、独立してまたは人と協力して問題解決にあたることのできる基礎学力と専門知識の修得を目指す。

まず、応用数学、応用物理、情報処理、機械工学概論などを学習することによって工業基礎学力を身につける。また、電気的基礎学力を修得するために、電磁気学、電気回路、電子回路、電子工学、制御工学、情報工学、電気工学実験などを学習する。これらの基礎学力を確実に身につけた後、さらに高度な専門知識を修得するために、電気計測、電気機器、電子計算機、電子制御、通信工学、情報通信、電気材料、高電圧工学、電気設計などの科目が開設されている。

また、最新の知識の修得や各種の公的資格取得のため、選択科目として電力工学、応用通信工学、システム工学、電気法規・電気施設管理、光子工学、情報システムなどが開設されている。  卒業研究は創造性の育成や課題探求能力・プレゼンテーション能力の開発のために不可欠なものと位置づけている。

本学科在学中に取得できる資格として、第2種電気主任技術者試験、第1級陸上無線技術士試験、第2種情報技術者試験、ラジオ・音響技能検定試験2級、デジタル技術検定試験2級、工事担任者試験、英語検定試験2級などがあり、これら公的認定試験のうち少なくとも2ないし3の資格を取得できるよう指導している。

電子制御工学科

現代の高度文明社会はコンピューターを用いた制御技術なしには成り立たない。身近な生活の例では、最新型の洗濯機や冷蔵庫、炊飯器などはコンピューターにより制御されている。インターネット、携帯電話、カーナビなどはコンピューターに直結しており、これらをつくる工場もコンピューターにより制御されている。  私たちは、家にいるときも、働いているときも、買い物をしているときも、自動車の中でも、新幹線の中でも、飛行機の中でも、宇宙に飛び立つ人工衛星の中でも、あらゆる分野で情報・通信技術、電気・電子技術、制御技術を頼りにしている。これらの技術分野の進歩は極めて急速であるから、これらに対応できる基礎知識と応用力、開発力を備えた技術者の育成が強く求められている。

電子制御工学科では、急速な情報・制御技術の進歩に対応できるように、この分野の基礎から応用まで理論と実験・実習の両面から教育を行っている。そのために、低学年では、基礎電気工学・電気工学等で電気・電子技術の基礎教育、情報処理で情報技術の基礎教育を行う。  高学年では、

(1)電気回路・電気磁気学・工学実験等で高度な電気・電子技術、 (2)電子計算機・知識工学・画像工学・工学実験等に通信工学を加えて情報・通信技術、 (3)電子制御工学・ロボット工学・工学実験

等で制御技術の教育を行っている。

これらを3本柱として、コンピューターを中心に電気電子・制御技術を応用し、人類にとって価値の高い自動化システムや人工知能システムを開発できる技術者の育成を目指している。さらに、急速な技術の進歩に柔軟に対応でき、社会的な責任感を備えた技術者の養成をも目標に掲げている。

物質工学科

現代のわれわれの生活を支えている食料をはじめ自動車や航空機などの輸送機器、電気機器、情報機器、医療機器にいたるまですべては物質から成り立っている。最近では医学や農学の分野で発展した遺伝子操作などのバイオテクノロジーにおける新技術の工学への応用が物質・材料系技術者に期待されている。

一方、20世紀における物質文明の発展の反面として現れた地球規模での環境汚染や資源枯渇、人口増加などの問題がある。さらに近年、わが国の工業は重厚長大型から軽薄短小型へと移行しつつあり、これにともない物質の分野では新素材の開発や省資源型エネルギーの開発などに重点が置かれるようになっている。

物質工学科ではこれらの状況に対応するため、工学基礎として、数学、物理、化学、生物、情報処理などを学習する。さらに物質の本質を理解するために有機・無機化学、物理化学、分析化学などを学び、先端的な有機材料、無機材料の研究開発、生命工学の知識や技術などを修得する。また、物質の社会的利用形態や利用方法、経済性などを理解するための化学工学、物質と環境との調和や物質の安全性についての理解を深める環境工学についても学習する。

無機・有機・高分子材料の合成、分析、物性測定、機能性評価などについて学ぶとともに化学に基礎をおいた生物工学(生体触媒や生物反応など)や培養、遺伝子工学などについて学習する。 専門知識の修得を通して、将来、化学、医薬品、食品工業における研究開発や生産分野で活躍できる人間性豊かで創造性に富む技術者の養成を目標としている。

基幹教育科

優秀な実践的技術者の育成を目標とする高専教育において、基幹教育科で教える科目は専門基礎科目としての役割とともに、深い人間性を有する優秀な技術者を育てるための教養科目としての性格も併せ持っている。このような教育目標を実現するため、1年生から専門科目に親しみ、高学年になるにしたがって専門科目の割合を増やしていく、いわゆる「くさび形カリキュラム」を実施している。このカリキュラムの長所を最大限に生かすため、教養、基礎専門および専門科目のバランスのとれた科目構成を行っている。

学寮や自宅での自学自習の習慣づけなどによって、入学後なるべく早期に、「覚える」学習から「考える」学習に切り替えることを重視している。3年生までに想像力・創造力の基礎を培わせ、それを4、5年生で科学的想像力・創造力に高め、その実現へ向かう行動力・実践力が培われるようにしている。このような特色を持つ基幹教育科の教育によって、心身ともに調和のとれた人格形成と、日進月歩する現代科学技術に対応しうる、より密度の高い基礎的知識の修得を目指している。

基幹教育科では、グローバル化時代の個性的で創造性豊かな実践的技術者としての素養を養うために、次の教育目標を掲げる。

1 人文・社会・保健体育系科目を充実し、心身ともに豊かな人間性と倫理観を育成する。
2 理数系科目では実験・実習の体験的学習を重視し、理論と実践に導かれた創造性と実践力を育成する。
3 日本語・英語教育を充実し、国際的に活躍できる技術者としてのコミュニケーション・プレゼンテーション能力の向上を図り人間力を育成する。
4 「くさび形」教育課程の長所を活かして、専門科目との連携・融合を図り、専門科目学習への動機づけを推進する。