専攻科紹介

産業数理技術者育成プログラム

産業数理技術者育成プログラム

Program for fostering engineers specializing in industrial math

 

(1)プログラム設置の背景

高度に発達し、さらにイノベーションを繰り返している工学技術において、数学的あるいは数理的に扱う課題はますます増大しています。例えば、その重要性は、以下のような分野で挙げられます。

1)自動車、造船、航空機などの製造分野ではその設計に関して、様々な数値シミュレーションの積み重ねは不可欠ですが、そのもとになっているものは、すべて現象の数学モデルです。しかしながら、実際には多くの技術現場では、数学的知識の不足のためにその原理を理解することができず、主として海外のソフトウェアメーカーのパッケージに頼らざるを得ない現状にあります。そのことはまたパッケージ自体の効果的な活用上でも大きな障害となっていると予想していますし、実際に、このような声を、ものづくり現場からは伺う機会が多数ありました。

2)最近の3次元の切削加工では、複雑な空間認識が必要であり、その基礎技術では微分幾何学的な思考力が要求されます。

3)LSI 設計では、最適化理論や組み合わせ論は重要な役割を果たしています。

4)金融工学やリスクマネジメントでは、確率統計的考察が必要であり、最近のビッグデータ処理においてもしかりです。

このように、ものづくり産業技術においては、自然・社会現象の数学モデルを組み立て、それを数理的・数値的に処理する手法が極めて大きな役割を果たしており、通常の工学技術に加えて、数学的理論を使いこなす力が、強く求められています。しかしながら、そのような要求条件を満たす数学的能力は、現状の大学の工学部や高専 専攻科修了生では不十分であると考えております。

 

(2)佐世保高専の取り組み

このようなことから、佐世保高専 専攻科では、数学と工学との相互の関連性を総合的に理解し、それらの専門知識の融合を図り、産業界に貢献できる産業数理技術者の育成を目標とした具体的な教育内容として、

1)従来から教育してきた専門工学分野(機械、電気電子、情報、応用化学)を修得させる。

2)さらに、産業数理分野で必要とされる産業数理系(数学系)科目を修得させる。

これにより、『専門工学分野』 と 『産業数理分野』 の2本の基軸を有する専攻科修了生を育成します。
なお、産業数理技術者育成に関しては、2015 年10月に九州大学マス・フォア・インダストリ研究所(IMI)と包括的連携協定を締結しました。今後は、その知見を共有し、教育・研究を推進して行きます。

 

(3)「産業数理技術者育成プログラム」の修了認定に必要な科目群(必修科目を除く)

 

(4)修了生の進路 (令和3年3月31日現在)

【進学先】 奈良先端科学技術大学院大学、九州大学大学院、九州工業大学大学院
【就職先】 株式会社SUBARU

 

 ※専攻科入試情報はこちらよりご確認ください。